RubyWorld Conference開催趣意書

10年前、Rubyといえば、新しい技術に対する好奇心に満ちたプログラマたちの遊び道具でした。ごく一部の企業では業務に利用されていましたが、多くは簡単なCGIプログラムや、社内でのみ利用する作業用のスクリプトでの利用であり、大規模なシステムをRubyで構築することなど考えられませんでした。Rubyは、その言語特性上、プログラムの実行に多くのコンピュータ資源を必要としますが、当時のコンピュータの能力では大規模なシステムでの利用に十分な効率は得られませんでした。

ところが、近年コンピュータの能力は大幅に向上しており、Rubyでもある程度の規模のシステムに十分対応できるようになって来ています。また、コンピュータの能力の向上に較べて、プログラムの開発技術やプログラマの開発能力についてはそれほど大きな変化はないため、コンピュータにとっての実行効率よりもプログラマにとっての開発効率の方が相対的に重要になって来ています。

こうした背景のもと、RubyでWebアプリケーションを効率的に開発するためのフレームワークであるRuby on Railsの登場をきっかけに、Rubyはビジネスの現場に急速に拡がりつつあります。

一方、Rubyをビジネスで利用するにあたって、十分な性能を確保できるかどうか、言語仕様は安定しているかどうか、Ruby自体のメンテナンス体制は大丈夫かどうか、利用実績はあるかどうか、など、まだまだ不安の声も聞かれるのが現状です。

こうした不安を払拭し、Rubyの利用を促進することを目指して、Rubyに深いゆかりのある松江の地において、RubyWorld Conferenceを開催します。Ruby処理系をはじめとしたRuby関連技術の最新情報や、言語仕様の標準化の動向、先進的な事例などを紹介するさまざまなセッションを通じて、Rubyがより多くの領域に普及していくことを願っています。

RubyWorld Conference 開催実行委員会
委員長 まつもとゆきひろ

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